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『小説 仮面ライダーW ~Zを継ぐ者~ (講談社キャラクター文庫)』感想

※ ストーリー的なネタバレ要素はないので、購入検討している人向けのレビュー。

◆概要
「今名付けよう……僕は仮面ライダーサイクロンだ!」

仮面ライダーWの小説版。
今作は本編で言うなら31、32話『風が呼ぶB』と33、34話『Yの悲劇』の間で起きていた物語。

ストーリーは基本的にフィリップ視点で進む。
これまで安楽椅子探偵役だったフィリップが、とある理由から翔太郎の名を騙り依頼に挑む。
ファングジョーカーでの戦い、アクセルの登場もあるが、一人での戦いに追い詰められたフィリップは仮面ライダーサイクロンへと変身するのだった。

◆評価点
なんせ執筆しているのが脚本を担当している三条陸氏である。
世界観は上手く再現出来ているを通り越して仮面ライダーWそのもの。

あらすじからネタバレされているので書いてしまうが、フィリップが唯一純粋に仮面ライダーサイクロンに変身する作品でもある。
無論、その戦闘法はしっかりとサイクロンジョーカーの時のそれを踏襲している。
サイクロン単品で戦うこれが見たかった! という人も少なからずいると思う。

後半の演出や途中に出てくる設定等は、撮影の予算を気にしなくていい小説だけあって劇場版並みの派手さがある。
というか、平成ライダーの劇場版によくある演出をまんま再現している気もする。
といってもAtoZと被るようなものでは全くないので、所謂あるあるネタに近い。

また、捜査の中で風都のメインメンバーもほとんどが登場するという点も、Wの空気感を生み出すのに一役買っている。

今回は翔太郎とフィリップの役割が逆になっているというコンセプトだが、言い換えるとちゃんと翔太郎が活躍する場面は用意されてある。
むしろ翔太郎がおらずフィリップ視点だから見える翔太郎像があり、これがはっきりと書かれた作品というのは後にも先にも本作だけとなるだろう。
ある意味ではこれが一番重要だったんじゃないかと思うし、私が最も評価している要素でもある。

さらに、TV本編で不明だったある疑問や設定がある程度この話で埋められており、しごくスッキリできるというのもポイントが高い。
後付の可能性は高いけども説明不能な矛盾部分だと思っていた部分が出てきた時は「ここだったのか!」という気分になった。

純粋に新たな仮面ライダーWを楽しみたいという人には、これ以上ない一冊と言えるだろう。

◆問題点

執筆者が脚本担当その人のため、『小説』という意味での完成度ははっきり低い。
脚本そのものってわけではないが、基礎的な部分もできていない部分が目立つ。

ちなみに小説の平成ライダーシリーズはWが最初の一冊でもあり、私はこれから読んだため文章の稚拙さには結構ガックリときた。
同時発売した中にもっと酷いのがあったし、逆に後発の同シリーズは平均的な文章力も向上している。

執筆期間に余裕があったり、発売延期を繰り返していた作品と完成度を比べるのは酷かとは思うが、純粋な事実として同シリーズの文章クオリティが高いものと比較しても見劣りする。
ここを純粋なマイナス評価とするのは人によって別れるかもしれないが、後で買う人にとってはあまり関係がないのでしょうがない。

加えてこれは好みの問題が大きいが、私はどちらかと言うと左翔太郎が好きなため全体的に見ると彼の出番が少なめなのも残念だった。
活躍シーンはちゃんとあるものの照井竜の出番もあまり多くはない。ここはある意味原作通りだけど。

◆総評
元々の仮面ライダーWの世界観を大事にしているため、仮面ライダーWを読んだ、という満足感はしっかりと得られる。
反面、小説作品としては文章構成に明らかな難があるのも事実。

平成ライダーシリーズの小説作品はほとんどに当てはまるが、どちらを重要視するかで読者の評価は大きく別れる。

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