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緋色の平穏 Ep4『タンブリング・ダイス8』

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 俺の黒歴史発表会も大盛況のまま無事終了し、今は再びトレーニングルームにて横たわっている。
 決してサボタージュしているわけでも、またアースラ連中を怒らせて鉄槌を下されたわけでもない。
 ちゃんとトレーニングルーム本来の役割を理解した上で、分量使用法をよく守り、清く正しく扱った結果がこれである。

「大丈夫たっ君!?」

 言い訳する毎に増していく空しさを断ち切り、状況を簡潔に説明しよう。
 フェイトを相手に模擬戦初めて十数秒で、バルディッシュザンバーでホムーランボール代わりにされた。

 俺のお気に入りのゲームにとえるなら、無改造のザクにフル改造のストナーサンシャインをぶちこむかのような所業だ。
 大丈夫なわきゃないだろ。

 女将を呼べ! と、叫びたい衝動に駆られたけど、まさか一生懸命頑張っている十歳の少女相手にそいつは大人気ない。
 そもそも言ったところで言葉の意味も理解されずに引かれるだけだ。
 ここは紳士な態度で持って余裕を示さねば!

「大丈夫だよ。流石フェイト、ナイススピードだね」

 ここで爽やかな笑顔と、フェイトを誉めることも忘れない。完璧だ! アイムパーフェクトソルジャー! 負けたけど。

 フェイトはこれまで弄ばれ続けた経験から、俺を相手に長期戦は不味いと判断して短期戦を挑んだのだろう。
 そもそも本気を出す気などさらさら無かった俺は、いきなりの高速戦闘に全くついていけなかった。

「なに秒殺されといてヘラヘラしてんだよ」
「負け犬は負け犬らしく床にでも這いつくばってなさい、このM男!」
「ぐぅ……」

 フェイトちゃんの肩を借りトレーニングルームから出た俺を迎えたのは、仲間達の声援だった。
 しかし、ちょっと部屋から出てくるのが早かったせいで、自然解凍が終わってなかったらしい。言葉の温度は氷点下だ。
 これだからAランク以上の魔導師共は!

 本来なら戦いになるわけないスペック差だということを忘れてやがる。
 この模擬戦を提案したのも輪廻さんだ。
 親睦会は終わったが、見回りを開始するにはまだ時間が早すぎた。

 見回り前にミーティングするにしても、時間が半端に余る。
 それで軽く食後の運動程度でこいつが始まった。

 ルールは戦闘続行可能な魔力数値をかなり高めに設定し、バリアを抜いた直撃をもらえば即脱落というスポーツ的なルールだ。
 あくまで夜の見回りまでにダメージと魔力を回復できることが前提になっている。

 俺達輪廻側戦闘員三名と、なのはとフェイトにシグナムさんの対決。
 はやては正面きってのガチンコ向きじゃないし、デバイスも調整中だからと辞退した。

 俺も怪我が治りきってないことと、血液足りんあたりを理由に抜けようかとも思ったが、共闘するにあたって対人戦における彼女達の戦闘パターンを確認しておくのは重要と判断した。
 特にシグナムさんの戦闘は一度も見ていなかったというのもある。

「お前らも負けたじゃないか」
「確かに負けたがお前ほど無様じゃねぇよ」

 とてもナチュラルに腹立つなぁ……。

 こっちのトップバッターは修一。
 やはりと言うべきか、相手は同じタイプのシグナムさん。
 シグナムさんから次々と放たれる斬撃を、修一が受ける。

 彼女のスタイルは基本攻めらしい。一刀一刀に倒すという気迫が込められている。
 なら防戦に回る修一が弱いのかというと、そういうわけでもない。

 あいつは結局一度も攻撃を食らっていない。
 全部避けるか流していた。
 猪突猛進な性格してるくせして、極力無駄の少ない動き。

 球太郎を相手にしていた時は守りで手一杯になっていたが、これが修一本来のスタイルだ。
 あいつは元々保有魔力が飛び抜けて多い方でもなく、カートリッジみたいな一時的チャージもできない。
 代わりに持っているのが虚数空間の絶対斬撃。
 あんな危険技を模擬戦で使えるわけがないものの、自分の欠点と特性により自然とあいつのスタイルは一撃必殺狙いへと淘汰されていった。

 しかしシグナムさんも一流の騎士。僅かな隙を縫うような修一の一撃もまた、磨かれた彼女の技術を前にしてついに防御を抜くことはなかった。
 敗因は根本的な魔力不足。消耗戦の末先に修一の魔力が規定値以下になっただけの話だ。
 シグナムさんも勝った気がしない、後日再戦だと息巻いている。

「ていうかあんたの場合やった意味がまず感じられないわよ」
「うわーん!」
「まぁまぁ、たっ君はまだ全快だったわけじゃないし」

 うぅ、勝者から慰めの言葉を入れられた。
 なのはと戦った鏡は防御を抜かれての敗北だったが、内容は接戦。

 なのはのディバインシューターが鏡の周りで舞い踊るも、鏡は楽しそうに笑っていた。
 いつ自分に襲いかかるかもわからない、いくつもの魔力弾が360度で近くを旋回する。
 なのはの持つ高度な魔力操作と空間把握能力があって初めて成立する技術。
 仕掛けられている側からすれば相当なプレッシャーがかかることだろう。

 実際に鏡の死角からいくつもの魔力弾が襲ったが、その全てに耐えた。
 鏡はカートリッジを1つ消費して、ギターを掻き鳴らすと蒼い球の薄い膜が発生。
 ディバインシューター達は膜に触れるやいなや、ピシリと氷が割れるような音が鳴り、その場に停止して直後に破壊された。
 鏡の持つ、魔力変換資質。

 雷や炎に比べると稀だといわれる氷属性の変換スキルを、鏡は標準装備している。
 自分のシールドを付近の大気ごと凍らせる。

 しかもいやらしく全部変換はしない。
 魔力障壁と超低温の物質停止による二重防御。

 魔力攻撃だろうが物理攻撃だろうが関係なく停止させ破壊する。
 そうして護りを固めつつなのはを追い詰めていったが、最終的に圧倒的な魔力の砲撃でもって魔力障壁も冷凍停止もぶち破られた。

 正直こいつに関してはルールなんぞ無視してガチバトルに発生しないかと割と本気で心配していたが、真剣味がなさ過ぎてちょっとした弾幕ごっこみたいなゲーム感覚だったようだ。

 こうして俺達は見事全敗したわけだ。
 それでもまぁ、『模擬戦』ならばこんなものだろう。

 俺達が本領を発揮するのは“こういう場”ではない。
 だから、俺より遥かに負けず嫌いなこの二人が、こんなに平然としていられるのだ。

「たっ君、調子どう?」

 早くも常連になりつつある医務室から出てきた俺を、憂いを帯びたフェイトちゃんが迎えてくれた。
 俺をバスターホームランの刑に処したことをまだ引きずっているらしい。

「もう平気だよ。元々一時的なもんでブラックアウトもしてないしさ」

 ブラックアウトとは純粋な魔力ダメージや、魔力の消費過多で一時的に意識を失うことだ。
 俺は後者には縁がない代わりに、失血死という比べ物にならないハイリスクが常につきまとっているがな。

 さらに大きな過負荷はブラックアウトダメージと呼ばれ、直接肉体に関わるものになる。
 どっちかというとフェイトはこちらの方を心配しているみたいだ。

「ならいいんだけど」
「それじゃ、一緒にミーティングルーム行こうか」

 そろそろ見回り前のミーティングが始まる。
 俺達輪廻側用に事件の詳細を含んだ再説明や、見回りのチーム編成。
 全員集めてそれらを話す必要がある。

「そうだね」

 戦闘についてのちょっとした情報を交換をしながら、2人で足並揃えて部屋へ向かう。

「そういえば、親睦会で一つ聞き忘れてたことがあったんだけど」

 あの時、必要なことは全部話したつもりだ。
 言い換えるなら、これ以上の事は聞かれても答えられない、もしくは答えたくないことだといっていい。
 さらに、フェイトの話すトーンが僅かばかり落ちたことも気になる。
 あまり俺にとっては良い話じゃないだろう

「なんだい?」

 俺はどの質問をされても当たり障りのない返答をするため、脳の処理速度を少しばかり真面目方面に上げる。

「結局、たっ君はどうして途中まで機嫌が悪かったの?」

 なんだ、そっち方面か。
 かと言って質問者の表情は真面目そのものなので、ネタに走って小さい女神様の機嫌を損ねるのもあまりよろしくなさそうだ。

「それは、輪廻さんが俺を嵌めたからだよ。俺はメガネ野郎襲撃事件での取調べが終わったら、この事件から身を引くはずだったんだ」
「じゃあ、たっ君はやりたくないのに、この事件の解決に動いてるってこと?」
「本音を言えばそうなる」
「そうなんだ……」

 おおぅ、俺の返事を聞いて女神のテンションが落ちてまいりましたよ。
 ぶっちゃけ半分くらいは不貞腐れた振りして、輪廻さんから譲歩案引っ張りだそうと無駄な努力をしてたのだけど。

「でもね、今はそう悪いもんでもないと思ってる」
「どうして?」
「君達と知り合えたからね」
「え? あ、あの……それって」

 ぽふっとフェイトちゃんの顔が赤く染まる。
 そういう意味でもあるんだけど、それだけじゃないんだなこれが。

「君達は面白い」
「それはたっ君たち程じゃないと思うけど」

 実はさっきからわざと意味を取り違えてるんじゃないのか、この子。
 それともそれだけ一つ前の発言に動揺したのか。後者だったら萌える。

「君達みたいな種類の人間とはあまり会ったことがなくてね。どう考えて、どこで力を発揮して、どう進んでいくのか興味があるんだよ」

 人を知り、相手の行動や思考に対するパターンを導き、本質を探る。
 生きることにおいても戦うことにおいても、これはとても重要なことだ。

 彼女達と行動を共にすることで、その部分に新しい情報が刻まれる。理を重点に置く俺にとってはかなり有用なことだ。

 特に他の連中みたいな特殊な才能を持たない俺には、これそのものが最大の武器となる。

「わたしもね気になってるんだ。たっ君がこれからどうやって事件を追いかけたり、どういう視点で犯人を探していくのか」
「へぇ……」

 これは驚いた。俺は、自分が思う以上にフェイトちゃんに興味を持たれているらしい。
 実はあまり喜ばしいことでもないのだけどさ。

「呑まれないようにね」
「呑まれるって?」
「さぁ、着いたよ」

 俺は最後の問いに答えることなく、ミーティングルームへと入った。
 狂気は伝染する。深淵を覗こうとする者は、同時に深遠に魅入られる危険を背負わねばならない。
 彼女があの魔導師の遺伝子を持っているなら尚更に伝播する可能性はある。

 俺みたいな奴は一人で十分だ。
 この子には最後まで心優しい女の子であってもらいたい。ただ純粋にそう思う。

『ペテン師』

 部屋に入ってすぐ、壁にもたれていた鏡が念話を飛ばしてきた。
 その一言で大体言いたいことはわかった。
 念話していることが誰にも悟られないよう身体的な反応を見せることなく、フェイトと共に机に向かい残りのメンバーの集合を待つ。

『今は協力することが第一だろ。それに嘘はついていない』
『それで自分が都合のいいことばかり話して、同情させたってわけ? 今から追う殺人鬼より、私達のがよっぽど凶悪なことはひた隠して。ペテン師じゃなければ卑怯者ね』
『話してどうなる。始まる前から空中分解なんざ誰も望んじゃいないだろ?』

 俺は彼女達に『過去の生き方』は話したが『現在の生き方』については話していない。
 趣味や好きなものレベルなら教えたが、所詮そんなものは上辺にすぎない。

 大事なのは現在の本質だ。何を基準にどう生きているのか。
 俺は昔人を殺したとに理由も混ぜて彼女達に説明した。
 だが人殺しは今も同じ。こっちは自分の意思があり、自分で選んでの話。

 むしろ殺害した人数なら、輪廻さんの部下になってからの方がずっと多い。
 こんなこと彼女達に話せば、協力関係など組めるはずもなく同盟の破綻は火を見るより明らかだ。

『それだけじゃないわ。自分の過去を餌に彼女達を釣り上げるなんてなんて汚い大人かしら』
『お前、なのはかはやてから話の内容を聞いたわけだ』

 過去のモルモットとして扱われた記憶。
 普通の人はトラウマになるか、復讐を考えるかのどちらかだろう。

 だが、今の俺にとっては使いかって良いカードの一つでしかない。
 彼らは間違えている。暗いだけの昔話にいくらこだわっても、それは鎖となって自分を縛るだけ。
 俺はもっと間違えている。自分の痛ましい過去を、憐れみを引きだすための道具にして他人を縛っているのだから。

『興味があったからね。あんたがあの子達をどうやって引き入れるのか。予想通りすぎてちょっとつまんなかったわ』
『だからわざわざお膳立てまで買って出たってわけだ。お前も十分過ぎるほどに悪だろうが』

 しかもこの喧嘩腰は、予想を覆してくれなかったから面白くなかったって所か。
 凡策だって時には有効なもんなのさ。

『いえいえ、お代官様こそ』
『なんて苛立たしい越後屋……!』

 そこでを区切って鏡も座った。面子が全て揃ったからだ。
 全員がいることを確認すると、リンディさんは事件のあらましを説明し始めた。

 この事件に魔法が絡んでいることを最初に気付いたのはクロノだったらしい。
 運が良いのか悪いのか、死体の第一発見者となり魔力反応を探知した。
 それから現地人のみの捜査で犯人逮捕は困難と判断し、なのは、フェイト、クロノを筆頭としたアースラ局員で現場捜査を開始。

 しかし一向に捕まえられる気配がないため、八神一家を借り受け捜査に加える。
 それでも結果は変わらず、行き詰っていたところに輪廻さんが協力を持ちかけたというわけだ。

 続いて現在判明していること、これからの捜査予定などを鳴海市の地図を出しながら説明。
 とりあえず必要と判断したことはメモしつつ頭に入れていく。

「さぁ、お楽しみのペア決め発表と行こうじゃないか!」

 それが終わると輪廻さんが生き生きして、白い布を被せたキャスター付きのボードを押してきた。

「ふふふ、君達心の準備は良いかね?」

 選ばれたメンバーと殺人鬼を相手に命のやり取りをしなければならない可能性もあるのだから、大事なのは間違いない。
 しかし今の輪廻さんの表情はクラスの席替えや修学旅行のバスの席順発表とかそういうレベルのノリだ。水に浸ければ浮くんじゃないだろうかってくらい軽い。

「心の準備はきっともう皆済ませてると思いますので、お願いします」

 なのはがごく真面目に返してくれた。
 一々反応してあげる少女達に感動だし、何よりツッコミの必要性が消えて俺が楽できる。

「ふははは、では行くぞ!」

 輪廻さんは布を一気に剥ぎ、バサッと空を切る音が鳴る。
 ボードには二人ないし三人で一組になっているチーム編成図と、チームごとの巡回コースが書いてある。
 図によるとローテーションでチームは代わるらしい。

 それで今回のチームは……と。
 あれ? おかしいな。見間違いかな? だっていくらなんでもこれは流石に空気読まな過ぎだろ。

「な、何だってー!?」
「期待通りの反応をしてくれるじゃないか。考えたかいがあるというものだよ」

 本日の暁拓馬と暗い夜道を行く者達。シャマル、シグナム。
 あるあ……ねーよ! 今夜の犠牲者はむしろ俺コースじゃないか!
 不意に軽く右肩を叩かれる。
 カクカクと油の切れたロボットのように振り向くと、そこには柔和なはずなのに禍々しい何かを感じさせる笑顔のシャマルさん。

「ふふふ、頑張りましょうね、たっ君」

 何故にあなたがその呼び方を?
 今度は左肩を掴まれた。力に任せて握られていて痛い。

「ちょうどお前とは、一度じっくり話してみたいと思っていたところだ」

 シグナムさんまで笑ってるよ。ただし、こっちは獲物を捕まえた喜びの笑顔だがな。

「不条理だー!」

 せめてどっちかにしてくれ!

「よろしくお願いしますね」
「ええ、こっちこそね」
「互いに責務を果たすぞ」
「ダンナ、よろしくお願いしやっス!」

 すぐ先にはなのはが鏡とえいえいおーと気合を入れてる。ああ、なのはが可愛すぎて心が辛い。
 修一はザフィーラに頭を下げて挨拶している。修一まで羨ましく見えてくる程に、今の俺は精神的に疲弊しているのか!

「がんばってね、たっ君」
「シグナムとシャマルもしっかりなー!」
「はーい!」
「最善を尽くします」

 言われなくとも頑張るよ。生き延びるためにな!
 でも当面の敵が強すぎるのでチートか攻略法を寄越せ。

「ふふふ、それでは我ら『トルバドゥール』が新たな詩(うた)を紡ぐ時だ!」
「おー!」

 両腕を広げ天を仰ぐ輪廻さんの横で、美羽も拳を突き上げる。君は医療班専門でアースラ待機でしょ。

「トルバドゥール? なんだいそれ?」

 聞きなれない単語にアルフが聞き返す。輪廻さんはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに口角を上げた。

「我らの組織名だよ『吟遊詩人』という意味さ。カッコイイだろう?」
「うぅ、名前だけはまともなのに中身はこれだよ」
「諦めろよ。お前の運の無さはいつもの事だろ?」
「ついさっきまではそんなに悪い流れでもなかったのに、酷すぎる衰運だよ!」

 せめて誰か片方だけでも引き取ってくれないだろうかと、切実に周りを見回すが現実は冷たい。
 皆さっさと転送ポートへと移動を始めている。

「いつまでそこにいるつもりだ。さっさと行くぞ」
「ほーら、急いで急いで」
「いえっさー」

 騎士二名に急かされ地球へと転送される。
 降り立ったフェイトの家から懐中電灯片手に外へ出て、各自のルートへと散開していく。

 外は既に闇が主導権を握り、星月が僅かに地を照らす。夜七時の少し前。
 最近夜には死が安売りされているこの一帯では、この時間でも歩くものは他の街と比べて少ない。
 一番多いのは仕事帰りのサラリーマンや部活帰りの学生。

 自分だけは大丈夫と根拠の無い自信を持っている愚か者と、ただの命知らずな馬鹿者。
 後は犯人を捕まえようと正義感を振りかざす、警察と時空管理局の局員達。

 俺も気まずい空気のお姉さま方に左右をとられ、人の無い道を歩き出す。
 傍から見れば外国人の美女二人をはべらかした人生勝ち組に見えることだろう。

 実際は死刑執行人に逃げ場を封じられ、ギロチン台へと向かう憐れな咎人である。
 この後に待っていたものは、予想されていた命のやり取りに非ず。破廉恥な不届き者への一方的な断罪。
 アースラに帰る頃には別の理由から精神的に衰弱しきっていたことは、言うまでもないだろう。

 そんなこんなで、無駄に紆余曲折しまくりの回り道の果てに、ようやく俺の殺人鬼探しは幕を開けた。
 そう言えば、出発する直前に輪廻さんが一言呟いていた。
 タンブリング・ダイス――――賽は投げられた、と。

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