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緋色の平穏 Ep7『大恋上1』

 昔輪廻さんに言われた、俺の悪癖。
 初めに言われたのは何年前だったかな?

「君は本当に子供が好きだね」

 これじゃない。
 子供は好きだけど。おにゃのこ限定で。

「君は女性というものに夢を見過ぎだよ」

 うるさいな。ファーストキスは甘酸っぱいレモンの味だと思って何が悪い。

「君は有用か無用か即座に判断のつかない物を、割り切らずに保留してしまうな」

 これだ。初めて言われた時、全然自覚していなくて驚いたものだった。
 手に入れた物がパズルのピースで、どこかで当てはまるかもと考えて捨てられなくなる。可能性の広がりを無視できない。

「捨てて後で必要だったと嘆くよりマシでしょう?」
「全てが有益に作用するとは限らない。後々害になるかもしれないだろう? 時には捨てさることも勇気だよ」

 輪廻さんが語る本質もわかっている。
 殺人事件で拳銃を拾い犯人探しのため持っていても、それで自分が犯人と勘違いされては本末転倒だ。
 けれど、そこで犯人呼ばわりを恐れるのは俺じゃない。

「リスクを恐れていては拓けない道もあります」

 傷を恐れて手を伸ばせないなら、何も掴めないだろう?
 切り落とされる覚悟を持って、俺は掴んできた。
 生を命を。
 自分自身を。
 回想終了。現実逃避おしまい。

「拓馬さん、英語でわからない部分があったって言ってましたよね?」
「数学が赤点だったんだから、数学を徹底的にやるの!」

 叶が迫り、円が吼える。
 椅子も使わないくらいに低く狭いテーブルなんだから、もうちょっとテンションダウンして欲しい。
 2つの教科がそんなに大事だろうか?
 英語が出来ないなら翻訳できる人を連れて行くし、数字を数えるなら演算装置が山のようにあるじゃないか。
 パソコンの構造を知らなくても操作はできるのだ。
 調べればわかる物を憶えるなんて無駄だと、アインシュタインも発言していたぜ。ここで同じこと言える度胸はないけどな!

「どっちもやるから順番にさ」
「「どっちを先にやるの!?」」

 世界平和は望まないけど、家内安全は確保したい。
 種を蒔いたのは俺なんだけど、炎上前提で肥料と水やるバカはいないだろ?
 いつも勉強を円に教えてもらってばかりで気が引けるので、夏休みの宿題は叶に教えてもらおうとしたのが、我が悲劇の始まり。
 叶ならきっと懇切丁寧に教えてくれるだろうし、手元に置くなら活用しないと。あまり放っておくとそれはそれで恐いし。
 連絡とってみるととても活気に溢れたOKがリターンされた。
 もちろん円には秘密だ。そのための計画もきちんと立てたさ。
 俺は朝早く出かけて適当に時間を潰し、図書館へと赴く。円から後で不在の理由を問われればバイトにしておけばいい。帰りに翠屋で臨時収入とケーキでも買っていけば、ちょっとした不信など吹き飛ばせるだろう。
 そう考えていた……出かけるより先に円が押し掛ける前までは。
 崩壊の原因は叶のアクロバティックな暗躍だった。どうやら前日に「私は明日拓馬に勉強を教える、うらやましかろう雌猫め!」てな感じのメールを送りつけたらしい。
 お前等それだけ仲悪いのに、いつの間にメールアドレスの交換したんだよ。
 円さんはどうして叶に勉強を教わるんだと大噴火。あーちーち、あーち。
 なんとか宥めようと理由を話すと、好きでやってるんだからそんなの気にするなと怒られた。どの選択を選んでも高感度下がるなんて、酷いシステムだな。
 それだけならともかく、今から部屋で勉強を開始するとまで宣言してしまったので、さー大変だ。怒りに身も心も任せてしまっているので、説得も困難である。
 そこへ叶が登場。睨み合いの期間すらなく、現状を把握して大爆発。
 叶はどうせ勉強するなら図書館より俺の部屋の方が良いから、わざわざお家までやって来たそうです。その展開は予想の範疇だったけど、円有りでどう切り抜けろと?
 思わずどこかに円と叶の平行攻略が書かれたサイトはないのだろうかと、ゲーム脳な思考をしてしまった。
 片っぽだけでもだいぶ困難だもの、それくらいあってもいいじゃない。
 エンディングはあえてノーマルエンドだけどな。
 暫く2人の間に割り込みながら狭き世の平穏を訴えるが、少女2人の戦いは衰える様子もない。
 よくあのテンションを維持し続けられるものだ。だって、どういうわけだか2人が奪い合ってるの俺だよ?
 1日あなたの召使いでオークションとか開こうものなら、最初の提示金額より低く落札される自信があるぜ。

「ちょっと、たっ君聞いてるの!」
「このわからず屋さんに何か言ってあげてください」

 また俺に飛び火してきた。ビグザム自慢よろしくダイセイオーが量産されるより恐い。
 これはお外の殺人愛好者を駆逐する前に、お家の大魔神様方を鎮めないとなぁ。
 そんなこんなのなんやかんやで、暁拓馬1回休み。

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