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『クマー少年のネットは広大だよ』 鶴見岳大戦まとめ2

 今回は引き続き鶴見岳大戦のまとめを行なっていく。
 前回は全国に跳んだイフリート達がサイキックエナジーを収集しようとしているのを防止して、ソロモンの悪魔が動き出したところまでだったから、その続きだ。

 ダークネスにも様々な種族がいることは皆知っての通りだろう。
 種族が多ければそれだけ人類に対する敵対勢力も増えるわけだが、それはダークネスにとっても同じだ。
 人類でも敵対し合っている国が数多のように、ダークネスも別種族は日々潰し合っている。

 前回話に出てきたヴァンパイアは、俺達灼滅者の集まりを組織と呼んでいた。
 奴らにとって灼滅者はダークネスにあらずとも、一つの種族として認識されているのかもしれない。最弱の種族として。
 最弱という要素は、時に強力な武器となり得る要素となるのだけど、それはまた今度語るとしよう。
 今はソロモンの悪魔についてだ。

 イフリートが一箇所に集いしかも弱っている。ソロモンの悪魔達は、これを機にと横槍を入れるように動き出した。悪魔達の目的は、イフリートが集めた力を強奪することだ。
 作戦の失敗によりイフリートは撤退を始めたが、こいつらに大量のサイキックエナジーを持っていかれるのも大問題には変わりない。
 そもそも鶴見岳の力を奪えればそれでいいソロモンの悪魔勢は、イフリートそのものは障害にならない限り放置するつもりだ。
 ここでソロモンの悪魔を制しなければ、力を与えた上にイフリートの残存戦力は大したダメージを受けずに撤退という最悪のシナリオになってしまう。

 よって、こちらの作戦内容は三つ。
 ・逃走するイフリートの灼滅。
 ・ソロモンの悪魔軍勢の灼滅。
 ・鶴見岳の麓に設営された、ソロモンの悪魔の拠点を叩く。

 どれも危険な作戦となるが、中でもソロモンの悪魔の拠点を攻撃するのはかなりのリスクを伴う。
 言ってしまえばこの作戦を指揮しているリーダークラスのソロモンの悪魔を相手にするのだ。
 イフリートとデモノイドも、通常なら一体ずつ相対する敵と複数同時に戦闘せねばならない。
 それでもこれは誰かがやらねばならない。

 かくして、灼滅者達にとって鶴見岳最大の激突となった戦いが幕を開け、結果として作戦は成功を収めた。
 ただし、それ相応の犠牲を払うことになったが。
 これまでごく僅かにしか出ていなかった闇堕ち者が多数現れ、重傷者はそれ以上の数に上る。こちらが払った犠牲の数を考えれば、決して手放しで喜べる雰囲気ではない。
 特に、これまでこの学園で大規模な負傷者が出ていなかったこともあり、鶴見岳に出ていたメンバーが戻ってからの学園は確実に影を落としていた。

 ただ、個人的には今回の戦いで、俺達は二つの大きな利益を得たと考えている。
 一つは戦いにおける覚悟だ。
 この学園の生徒はエクスブレインを除き全員が戦闘員であるが、中にはその意識が低い者も少なくない。それは今回鶴見岳に行った者も例外ではなかっただろう。
 本来、誰も死者を出さず、二勢力の戦力を確実に削ぎ落としたのだ。戦果として見るなら上々であり、本来ならもっと戦勝ムードを出してもいいはずだ。
 それが、現実はこの話題に触れる者は皆、むしろ重苦しい空気を発することが多い。
 その理由は単純で、多くの犠牲者が出たからだ。
 戦いで得た勝利よりも、戦いで生まれた犠牲者を悼む。
 なるほどそれは美しい感性かもしれない。しかし俺達がやったこと、やっていることは戦いだ。
 灼滅するとは殺すこと。
 灼滅されるとは殺されること。
 相手を殺しておいて、殺されもしない重症、死んだと決まったわけでもない闇堕ち程度でこの重々しさ。
 これはもう死線に対する認識の甘さが招いた事態、としか言い様がない。
 仲間の無事に安堵することは人として当然だ。闇堕ちした者を心配することや、重傷者を労ることを否定しているわけではない。
 けれど、そこで終わっていいのだろうか?
 俺達はもっと喜ぶべきだ。
 戦勝勢となったことを誇るべきだ。
 たとえそれが空元気であってもいい。それは何も空気を無視した愚行ではなくて、折れない意思を見せ付ける、前進するための意気として機能する。それが学園全体の士気向上へと昇華されるのだ。
 それができないのは、『優しさ』ではなく『弱さ』ではないだろうか。
 初めから犠牲を承知の上で勝利を得る覚悟があったのならば、こんな空気にはならなかった。

 これでは、戦いの覚悟がないまま戦場に赴いたと言われても否定はできない。
 だからこそ、これで学園の生徒達は知ったはずだ。少なくとも認識は生まれた。
 ここから先、何度でもこういう戦いは起きて、その度に重傷を負ったり闇堕ちしたりする者はいくらでも出てくるのだと。
 そして、一度折れたとしても、もう一度立ち上がれる勇気があれば人は強くなる。それはこの学園も決して例外ではないと俺はそう信じている。

 もう一つ得たもの、それは言うまでもない。情報だ。
 ソロモンの悪魔達は金鉄別府ロープウェイ別府高原駅を拠点にして戦力を展開していた。わざわざこんな場所を陣取り、かつイフリート達の勢いが落ちたタイミングで動いたことから察するに、ずっとここで仕掛けるチャンスを伺っていたのだろう。
 ソロモンの悪魔の単位は柱。この作戦には十八柱、部下は約百名が駆り出されていると言われており、その内の十七柱が灼滅者と戦闘になっている。
 ここで一度、報告書から得たソロモンの悪魔達の情報をまとめよう。

アモン:ピエロ帽に嘴のように尖った顔。全体的に人間離れ。闇堕ち四人の戦力でも蹴散らしてくる。今作戦における指揮官。

レヒト:赤い髪と同色のマントを着用し、顔の右半分を仮面で隠す、二十代半ばの男。ちゃらい口調で好戦的。
リンク:青い髪と同色のマントを着用し、顔の左半分を仮面で隠す、二十代半ばの女。冷徹女系。

アーマハ:ピエロ面にあどけない声。存在自体が不協和音な雰囲気。自称僕っ娘。純粋故に冷酷。

白百合:白肌銀髪。白の振袖には大輪の百合が描かれている。妾系姫様。

バルアモン:牛頭のごつい系。アモン直属の手下っぽい脳筋。灼滅済み。
ハセベミユキ:胸にワニが生えた女子。口調が荒っぽく性悪。以前救えなかった犠牲者が闇堕ちし、安定化した。

レナード:長い黒髪を無造作に束ねている。生意気な若者系の口調。ぶっちゃけ他の連中が濃いので普通に見える。
フェルナンド:腰まで届く金髪、優しげな碧眼、白のロングコート。お兄さん系。

ドリー:ゆったりとしたローブで顔半分を仮面が覆う。艶かお姉さん系。だが噛ませ犬。灼滅済み。

署長:濃紺の帽子と制服風衣装。現場からの叩き上げ自慢。発言からしておっさんっぽい。そもそも名乗ってない。灼滅済み。

桔梗:すらりとした長身で、和装の青年。見下し丁寧語の僕男。
綺羅:猫耳で黒フードの美景ちびっ子。悪魔っぽい羽根と尻尾付き。生意気なガキ口調。

ザ・ワンド:黒ずくめで道化の仮面で、武器は宝石がはめ込まれた杖。大柄なお男だけど僕っ子。なんちゃって安心院さん系で、他に比べ比較的弱い。

:牛のドクロ面を付けた甲冑の老人。神秘特化系。灼滅済み。

クライス:黒装束に、ジグザグな形状の刃を武器にする。キャラより武器の方が濃い系。灼滅済み。

教授:笑顔の仮面に、魔道書を球形上にして大量に宙へと浮かべる。おぞましボイス系。でも口調は超軽い。デモノイド生産に関係あり。

ウタゲ:現実味のない道化師。ぼくっ子。
ツドイ:現実味のない道化師。ボクっ子。イントネーションが独特。

 以上が、ソロモンの悪魔達と接触、戦闘した灼滅者の報告である。
 接触した者達で灼滅されたのが五柱。少なくとも未だ十一柱が健在ということだ。
 柱という単位だと、大昔ソロモン王が封印した地獄の悪魔達『ソロモン72柱』が思い出される。
 事実、アモンは序列七の侯爵として柱に名を連ねる悪魔だ。
 他の悪魔を束ねて力を集める指揮官という立場も、悪魔の中で貴重な義侠心のあるアモンらしいと言えばらしいのかもしれない。

 しかし、まさか仲間意識が希薄な殺人鬼集団さえ『666人衆』という組織があるのに、これだけまとまった作戦を立てるソロモンの悪魔がたった七十二体しかいないとは考えにくい。もし七十二という数が当てはめられるなら、アモンのように指揮官クラス以上の総数あたりが妥当だろうと、俺は個人的に推測する。

 そして、俺達が遭遇しなかった最後の悪魔――アムドシアス。
 額に長い角に馬の下半身、手には角笛を持つこいつもまた、本家『ソロモン72柱』の一柱を担う悪魔だ。

 戦場に出なかったアムドシアスの行方は、バベルの鎖が共振という形で報せてくれた。
 アムドシアスは何故か大量に分裂し揃って歌っていた。本人曰く、ブレイズゲートの効果により分裂現象が起きたらしい。 ソロモンの悪魔としては、本来アモンと同格のようだが、分裂の影響で単体では弱体化しており、現在はアモンの下に付いているらしい。
 それが理由なのか、『そういう力』を有しているのかはわからないが、アムドシアス達はデモノイドの生産プラントを管理しているようだった。

「「♪さぁ育ちなさい育ちなさい! アモンの造りしデモノイド!」」
「「♪魂にどの種族が眠ってるかなんて関係なし! 改造改竄デモノイド!」」
「「♪力は強いが脳は無い。理想の手駒デモノイド!」」

 夥しき数の巨大な繭。ここから人間から作られる悪魔、デモノイドが生まれてくるらしい。
 これが一斉に孵化し、灼滅者へと一度に襲いかかることになれば、俺達の敗北は必定だったろう。
 しかし、そうは至らなかった。

 この共振現象が起きているまさにその最中、デモノイド生産プラントが襲撃を受けたのだ。
 襲撃者の種族はヴァンパイア。一人の少女を筆頭にした奴らは、一様に学生服に身を包み、アムドシアスと相対した。

 どうやらヴァンパイアは、本来同類として開花する才能を持った人間まで悪魔に変えるデモノイドのシステムに敵愾心を燃やしており、そのために掃討作戦を展開したらしい。
 アムドシアス達は抵抗の意を示したが、ヴァンパイアの軍勢は繭もろとも弱体化アムドシアス達を次々と駆逐していった。

 これは俺達にとっても僥倖だったと言わざるを得ない展開だ。
 しかしながら、彼女らも全てのデモノイドを殺しきることはできなかった。生き残ったデモノイドはその余生もあまり長くないものの、人里へと下りじきに人間を襲い始める。
 その未来予想は幾人ものエクスブレインによって既に予測されていた。

 俺はこのブログを書き終えてから、デモノイドの一体を灼滅するために動き出す予定となっている。
 個人的な都合やタイミングがここまで鶴見岳の戦いに参加しそびれていたが、ここに来てようやくこの戦いの渦へと入っていくことができるようになった。

 ダークネスに劣らぬ力を持つデモノイド。鶴見岳でもこいつはしっかりと灼滅者やイフリートに被害をばらまいていた。
 その量産式の悪魔と直接相まみえることができる。言葉や伝聞だけでない、直接の戦闘にて情報を得られる機会だ。鶴見岳程の死線には遠いが、しっかりと得られる情報は得てくるとしよう。

 そういうわけで、今回の内容は以上となる。
 俺が無事学園に帰還したならば、次はイフリートとソロモンの悪魔以外にも動き出している他の種族達について、まとめて記してしまうつもりだ。
 それによって現在のダークネスによる作られている戦況を一通り形にできればと思う。

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